一人で暮らすということ

一人暮らしは大変だよと何度も言われたことがある。

確かに堕落した生活を送り続けていると、洗っていない食器が台所に飽和するし、洗っていない洗濯物が洗濯機の中で溢れかえっているし、掃除していない汚れた部屋の中で汚れた精神と共に毎日を送らねばならない。

しかし、そんな堕落した生活を送っていても誰からも咎められないのだ。だって一人暮らしだから。

食器なんて綺麗なものが無くなったら洗えばいい話だし、洗濯物に関してはスイッチを押して洗剤を放り込むだけで清潔な布となり、あとはそれを適当に干せば良い。汚れた部屋は「流石にまずいな……」というラインを越えれば流石に誰しも掃除する。

 

早く宿題しなさい、と言われて今やろうと思ったのに……と憤った経験を持つ人はおそらく多いだろう。これは宿題に限らず家での生活も同じで、2人でも5人でも、複数人と暮らしているとやはりそういった「自分の生活ペースが狂わされる」といったアクシデントは避けられない。

しかし一人暮らしであれば、自分のペースを守って生活することができる。なんなら来客がある時になったら本気を出せばいい。あと水周りを清潔にしておけばあとはどうにかなる。

私は一人暮らしを始めて5年目になるが、この自分のペースで生活ができることに幸福を感じており、一人暮らしって大変でしょ? と言ってくる有象無象にとぼけた顔で「どの辺が?」と返事をしている。一度1人で暮らしてみて欲しい。ご飯はその日食べたいと思ったものを作れるし、誰かに気づいたら食べられていたということもない。一人暮らしとは安寧である。