そうめん草子

そうめんは糸。

やうやう暑くなりゆく鍋際、火傷したとて、クッソ白いそうめんの細くたなびきたる。

 

そうめんのねぎ。

めんつゆの頃はさらなり、醤油もなお、小葱の多く飛び違ひたる。また、ただ一つ二つなど、ほのかにめんつゆに浮かぶもをかし。長ネギでもをかし。

 

そうめんはつゆ。

氷を差してざるの端いと近うなりたるに、家族の食卓へ行くとて、三つ四つ、二つ三つなどかけ急ぐさへあはれなり。まいて皿などの連ねたるが、いとうるさく聞こゆるは、いとをかし。食い果てて、テレビの音、YouTubeの音など、はた言ふべきにあらず。

 

そうめんは無。

夏のクソジメジメは言ふべきにもあらず、雲のクソどんよりも、またさらでもいと暑きに、IHなど急ぎ起こして、麺もて渡るも、いとつきづきし。昼をすぎて、めんがぬるくなりぬれば、そうめんの麺も、ネチャっとしてわろし。