わぐらぶ福島ソロイベに行った その2

当日の朝、私は吉岡茉祐さんの姿をこの目で見ることができるという喜びを噛み締めていた。

実は私はWake Up,Girls! 7人のアイドル上映前からこのアニメ、そしてグループに引き込まれていた。地元の宮城県を舞台にアイドルアニメが始まる。当時から女性アイドルを好みすぎていた私は、こんな最高設定のアニメをみすみす見逃すわけにはいかなかった。あと仙台はブスの街とか叩かれているので、宮城出身の美少女というだけで幸せな気持ちになった。まあ七瀬佳乃と久海菜々美は宮城出身設定じゃなかったけど。

で、かつて私はその映画が上映された時に盛岡の劇場に1人で足を運んだ。

Wake Up,Girls! 一枚ください」

映画館スタッフは「見る人いるのか」と言っているかのように目を見開いた。いる。ここにいるのだ。当時大学一年生の私は、このために早起きをして1日1回しか上映されない7人のアイドルを見に来たのだ。スタッフは急に覚束ない手つきになった。

「座席は指定ないのでお好きなところへお掛けください。」

初めて聞いた。そんなことあるのか。そう思いつつも私は劇場へ足を運んだ。開演15分前だったので、私が一番乗りだった。座席が選び放題だったため、私は開始3分前まで5回くらい席を変えていた。ようやく腰を落ち着けたところで私は異変に気付く。

ほかに客がいない。

女性客がいないことくらいは想像していた。しかし、それどころか1人もいない。私だけのためにブザーが鳴り、私だけのために7人のアイドルは始まった。途中、映画館スタッフであろうおじさんが何度か本当に人がいるのかを確認するためにドアを開けていた。

私だけのために展開される7人のアイドルを観て、こりゃやたらリアリティ追求しているアニメだなと思った。大田というWUGどころかツイッターオタク界隈でよく使われる男がいるが、あまりに現実のオタクすぎる。私のことを写実的に表現するんじゃないよ、と若干苦しい気持ちになった。

で、島田真夢さんが雨の中ビッチョビチョになりながら事務所に来て「アイドル、やらせてください」というシーンで普通に泣き、パンチラありのダンスシーンではパンツを一瞬でも多く目に入れておこうと目をかっ開き、普通に楽しく本当の1人映画を終えた。

アニメも追っていたが、話が最高すぎるのに急に関節がバキボキになったキャラなどが登場していたので不謹慎に笑うめっちゃ嫌な奴になりながら見た。ちなみに続編の映画は作画がバキバキになっておらず安心して見た。

しかし、周りにwugにハマっている人は誰もいなかった。パンチラ動画や作画メチョメチョ動画だけがネットで拡散されていたので私個人ではどうにもならない。無力な人間だった。1人でCDを買ったり借りたりして「オタクはここにいるぞ〜!」と健気な存在証明をした。何故かwug best1を仙台駅前と地元のツタヤで2回借りたのはいい思い出である。

 

それから時は流れ、7人ともけっこう人気が出てきて、ああよかったなとどこから目線なのかわからぬ安堵をしていた。これを巷では厄介なオタクと言うのだろう。「あのパンチラから何年なんだろう」そう思いながら私は会場へ向かった。